「住宅購入の予算ってどうやって決めるの?」「住宅ローンでいくら借りられるかは調べたけど、それが本当に無理のない金額かどうかわからない」「頭金・諸費用・維持費まで含めると、実際いくら準備すればいいの?」
マイホームを検討し始めると、こうした疑問が次々と出てきます。
結論からお伝えすると、住宅購入の予算は「手取り月収から住居費に充てられる金額を逆算し、そこに頭金・諸費用・維持費を加えたトータルで考える」ことが正しいアプローチです。住宅ローンの借入可能額を予算の出発点にすると、購入後の家計が苦しくなるリスクがあります。
この記事では、住宅購入予算の決め方を初めて家を買う方でも理解できるよう、順を追って具体的に解説します。
💡 この記事でわかること
- 住宅購入予算の正しい決め方(手取りからの逆算方法)
- 年収別の無理のない物件価格の目安
- 頭金・諸費用・維持費を含めたトータルコストの考え方
- 住宅購入後の家計をイメージするためのシミュレーションの視点
住宅購入予算の決め方:最初に考えるべき3つのステップ
住宅購入予算を決める正しい手順は以下の3ステップです。住宅ローンの借入可能額を最初に調べる方が多いですが、それは2番目以降のステップです。
ステップ1:住居費に使える月額を決める
まず「手取り月収の何%を住居費に充てられるか」を決めます。一般的な目安は以下の通りです。
| 住居費の割合 | 評価 | 特徴 |
|---|---|---|
| 手取りの20%以内 | 余裕あり | 教育費・老後資金・趣味などにも余裕が生まれる |
| 手取りの25%前後 | 標準的 | 多くの世帯が目標とする現実的なライン |
| 手取りの30%前後 | やや重め | 生活費・貯蓄を切り詰めない工夫が必要 |
| 手取りの35%以上 | 要注意 | 長期返済の中で家計が行き詰まるリスクが高まる |
ここでいう「住居費」は住宅ローンの返済額だけでなく、管理費・修繕積立金・固定資産税の月割りなども含みます。返済額だけで25%に設定すると、維持費を加えると30%を超えてしまうことがあるため注意が必要です。
ステップ2:住居費の上限から月々の返済額・借入額を逆算する
住居費の上限を決めたら、そこから維持費分を差し引いた額が「住宅ローンの月々返済額の上限」になります。
例えば手取り月収28万円・住居費25%(7万円)の場合:
- 固定資産税の月割り:約8,000円
- 修繕費の積み立て(戸建て):約10,000円
- 住宅ローン返済に使える額:7万円-1万8,000円=約52,000円
月々52,000円の返済で借りられる金額は、返済期間35年・金利1.5%の条件でおおよそ1,600万円前後になります。
ステップ3:借入額に頭金を加えて購入できる物件価格を決める
ステップ2で求めた借入額に、準備できる頭金(ただし諸費用と緊急予備資金を除いた額)を加えると、購入できる物件価格の目安が出ます。
借入額1,600万円+頭金200万円=物件価格の目安:1,800万円前後
この逆算の流れを守ることが、住宅購入で「後悔しない予算の決め方」の基本です。
⚠️ 住宅ローンの借入可能額を予算の起点にしてはいけません
「銀行に審査したら3,000万円借りられると言われた」という情報を予算の基準にしてしまうと、月々の返済が手取りの30〜35%を超えるケースがあります。借入可能額は「貸せる上限」であり「無理なく返せる金額」ではありません。必ず手取り収入から逆算して予算を決めることが住宅購入失敗を防ぐ出発点です。
年収別・無理のない物件価格の目安
手取り月収の25%を住居費の上限とし、そこから維持費(月1万5,000円)を差し引いた返済額をもとに試算した、年収別の無理のない物件価格の目安は以下の通りです。
| 年収(額面) | 手取り月収の目安 | 住居費の上限(25%) | 返済の目安 | 無理のない物件価格の目安(頭金200万円の場合) |
|---|---|---|---|---|
| 300万円 | 約18〜20万円 | 約47,500円 | 約32,000円 | 約1,200万〜1,500万円 |
| 400万円 | 約25〜27万円 | 約65,000円 | 約50,000円 | 約1,700万〜2,000万円 |
| 500万円 | 約31〜34万円 | 約81,000円 | 約66,000円 | 約2,200万〜2,600万円 |
| 600万円 | 約38〜41万円 | 約98,000円 | 約83,000円 | 約2,700万〜3,200万円 |
| 700万円 | 約44〜47万円 | 約113,000円 | 約98,000円 | 約3,200万〜3,800万円 |
| 800万円 | 約52〜55万円 | 約132,000円 | 約117,000円 | 約3,800万〜4,500万円 |
※維持費(固定資産税月割り+修繕費積み立て)を月1万5,000円と仮定し、返済期間35年・金利1.5%で試算。頭金200万円を加算。
この表はあくまで目安です。マンションは管理費・修繕積立金が維持費に加わるため、月々の返済額をさらに低く設定する必要があります。
頭金・諸費用・維持費を含めたトータルコストの考え方
住宅購入でよくある失敗のひとつが「物件価格と住宅ローンだけで予算を考え、その他の費用を見落とす」ことです。購入にかかるお金は大きく4つに分けて考えます。
①購入価格(物件価格)
土地・建物の売買価格です。これだけを予算として考えると、次の費用が計算から抜け落ちます。
②頭金
自己資金で物件価格の一部を負担するお金です。頭金を多く入れると借入額が減り、月々の返済と総利息が下がります。ただし、頭金に使える金額は諸費用・緊急予備資金を確保した後の残りと考えてください。
③諸費用
物件購入時に物件価格とは別にかかる費用です。
| 費用の種類 | 新築の目安 | 中古の目安 |
|---|---|---|
| 仲介手数料 | なし〜数十万円 | 物件価格の3%+6万円+消費税 |
| 登記費用 | 30万〜70万円程度 | 同左 |
| 住宅ローン関連費用 | 数万〜数十万円 | 同左 |
| 火災保険料(長期一括) | 10万〜30万円程度 | 同左 |
| 引越し費用・家具・家電 | 30万〜100万円程度 | 同左 |
| 合計の目安 | 物件価格の3〜5% | 物件価格の5〜8% |
2,500万円の物件を購入する場合、新築で75万〜125万円、中古で125万〜200万円の諸費用が別途必要です。諸費用は自己資金で賄うことが理想であり、住宅ローンに組み込むと借入額が増えて月々の返済が重くなります。
④住宅購入後の維持費
購入後も継続的にかかる費用です。これを月々の住居費に含めて計算しないと、実際の家計が想定より苦しくなります。
- 固定資産税・都市計画税:年間5万〜25万円程度(物件・エリアによる)
- 火災保険料:年間1万5,000〜3万円程度
- 管理費・修繕積立金(マンション):月1万5,000〜3万円程度
- 修繕費の積み立て(戸建て):月1万〜1万5,000円程度
- 駐車場代(マンション別途の場合):月5,000〜3万円程度
💡 自己資金の正しい使い方:優先順位を守ることが重要
- まず諸費用を確保する(物件価格の3〜8%)
- 次に緊急予備資金を確保する(手取り月収3〜6ヶ月分)
- 最後に残りを頭金に充てる
住宅購入後の家計をシミュレーションする視点
予算の決め方で最も重要なのは「今の家計で返せるか」だけでなく「10年後・20年後も安心して返せるか」という長期視点です。特に以下の3つは事前にシミュレーションしておく価値があります。
教育費のピークと返済が重なる時期
住宅ローンの返済期間(35年)のうち、子どもの高校・大学進学と重なる10〜15年間は教育費が最も大きくなります。この時期に住居費と教育費の合算で月々の固定費が増えすぎないかを確認してください。
収入が下がる可能性
育児休業・転職・病気・介護など、収入が一時的に下がる可能性は誰にでもあります。「今の収入が30年続く前提」で借入額を設定することは危険です。現在の収入より1〜2割低い収入でも返済を維持できるかを確認しておきましょう。
老後資金の積み立てを並行できるか
住宅ローンの返済中も老後に向けた積み立て(iDeCo・NISA)を続けることが重要です。住居費が重くなると老後資金の準備が後回しになり、定年後の家計が苦しくなるリスクがあります。住居費を月々の手取りの25〜30%以内に抑えることで、老後資金の積み立て余力を確保できます。
よくある質問
- 住宅購入の予算を決めるとき、最初に何をすればいいですか?
- 最初にすべきことは「今の手取り月収と毎月の生活費を書き出すこと」です。手取り月収から食費・光熱費・通信費・保険料・交通費・教育費・貯蓄などを引いた残額が、住居費に充てられる上限の目安になります。この金額を出発点にして、「月々いくらまでなら住居費として払えるか」を決め、そこから逆算して借入額と物件価格の目安を求めてください。住宅ローンの審査を先に受けることよりも、家計の実態を把握することが先決です。
- 頭金はいくら準備すればいいですか?
- 頭金の金額は「諸費用と緊急予備資金を確保した残りで決める」という考え方が基本です。一般的には物件価格の10〜20%を目安に頭金を準備するケースが多いですが、手元資金がゼロになることは避けてください。例えば物件価格2,500万円であれば諸費用75万〜200万円+緊急予備資金50万〜100万円を先に確保したうえで、残りを頭金に充てることが現実的な考え方です。
- 住宅購入の予算は新築と中古でどう考え方が変わりますか?
- 新築と中古で最も大きく変わるのは諸費用の金額と購入後のリフォーム費用です。中古物件は仲介手数料が発生するため諸費用が物件価格の5〜8%と高めになり、場合によってはリフォーム費用も加わります。ただし物件価格が新築より安いため、総費用で比較するとお得なケースも多くあります。予算を組む際は「物件価格+諸費用+リフォーム費用の合計」で新築と中古を横並びで比較することが重要です。
- 住宅ローン控除は予算にどう影響しますか?
- 住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)は、年末ローン残高の一定割合が所得税・住民税から控除される制度で、購入後の税負担を実質的に軽減します。ただし、控除期間(最長13年)が終了すると控除がなくなり、毎月の家計負担が控除分だけ増えることになります。住宅ローン控除の恩恵が続く期間中は月々の家計に余裕が生まれやすいですが、控除終了後の返済計画も事前に確認しておくことをおすすめします。
まとめ
住宅購入予算は「住宅ローンでいくら借りられるか」を起点にするのではなく、「手取り月収から住居費に充てられる金額を逆算し、頭金・諸費用・維持費を含めたトータルで考える」ことが正しいアプローチです。
💡 住宅購入予算の決め方 まとめ
- 住居費の上限は手取り月収の25%以内を目安にする(維持費を含む)
- 住宅ローンの返済額は「住居費の上限から維持費を引いた残り」として設定する
- 自己資金は「諸費用→緊急予備資金→頭金」の順に配分する
- 教育費・老後資金・収入変動のリスクを踏まえた長期シミュレーションを行う
- 借入可能額は「貸せる上限」であり「無理なく返せる金額」ではないことを忘れない
「自分の年収でいくらの家を買えるか」の具体的な数字を知りたい方は、各年収帯の詳しい解説記事も参考にしてください。また、住宅ローンのシミュレーションツールや一括比較サービスを活用すれば、借入額・金利・返済期間を変えながら月々返済額を手軽に確認できます。まずは自分の手取り収入と生活費を書き出し、住居費に使える金額から逆算してみることからスタートしましょう。